夫は1週間、私は3週間の滞在。
それ以前にも帰国したことはあったが、
ふたりそろっての帰国は香港にきて以来これが初めてである。
今回の帰国にはひとつの大きな目的があった。
それは産婦人科で内診を受けることである。
妊娠しているわけではない。
結婚して2年。私たちにはまだ子供はいない……
が しかし! そのときがついに!
ついにせまっているのだ。
今年の秋、
今住んでいるタイポーのマンションを引越す予定なのだが、
この引越しを終えたら、
私たちはやっと念願の子づくりを開始する!
常日頃心配性の私は、自分のからだが子供をつくっても
ホントーに問題がないかどうか、
きちんと確認しておかなければ!と熱い思いに燃えていた。
これはいわば 妊娠下準備内診なのである!
日本へ帰ってきても仕事に追われている夫を尻目に、
私は内診を受けるべく産婦人科の吟味に時間を費やしていた。
初の内診。
これは慎重に病院を選ばねばならない。
ネットでは内診に関する嫌な話が恐ろしいほどある。
そういう話を読むたびに、
やっぱりやめとこっかな……と弱腰になったが、
受けずに香港に帰れば後悔することは目にみえている…
私は自分を奮い立たせ、結局家の近くの産婦人科に行くことに決定した。
この産婦人科には香港にくる前、去年の春に、
血液検査をしに行ったことがあった。
このときには風疹、麻疹、トキソプラズマの抗体値を調べてもらっている。
どれも妊娠中危険な病。
このときも、
子づくり開始は近いぞ!自分のからだをチェックチェック!
との思いで行ったのだが、
あれからもうすでに1年が経過してしまった。
そう、我が家で物事が計画通り進んだことは一度もない……
内診 … これに抵抗を感じない人はいないだろう。
月曜だと女医さんがいると知った私は、
帰国後第一週目の月曜にさっそく産婦人科へ行った。
単なる健診だと保険が利かないので、
以前から気になっていた排卵痛を口実に検査してもらった。
排卵痛… 三年前くらいだろうか、
ある日、突然夜中にあまりの痛さで目を覚まし、
トイレでしくしく泣いていたのが始まりだった。
それから毎月一度排卵時期に痛みが訪れ、
一時は心配になったが結局そのまま放っておいたのだった。
いい機会だ。きちんと調べてもらおう……
エライ若い先生で大丈夫かと不安を感じたが、さすがは同じ女性。
まったく痛みも不快感もなく終了した。
とはいえ、股を おっぴろげ たまま椅子が上昇していく
のを待っている様はやはりマヌケである。
内診、超音波撮影とも異常は発見されず、
念のため子宮頸がん検査もしてくれた。
子宮頸がんの検査結果は1週間後だが、
とりあえず排卵痛の裏に怪しい病気は隠れてはいないようで安心した。
ところが! その夜なんとなく排卵痛についてネットで調べていたとき、
私はみつけたのである。
「クラミジア」ということばを……
あるサイトの中に、
クラミジアの症状として排卵痛が起きることがある、と書いてあるのだ……
なんということっ……
私は奈落の底に落とされたような気がした。
今まで性病などまったく気にもとめていなかったのに、
突然「死」を勧告されたような思いだった。
おおげさとおっしゃるなかれ。子供をつくろうと考えているものにとって、
性病はとても恐ろしいものなのだ。
…なんて私もそのとき調べてわかったのだが…
特にクラミジアは最近ものすごいスピードで増えているらしい。
クラミジアは放っておくと子宮内膜、卵管、骨盤内へと拡がって炎症をおこし、
卵管癒着・閉鎖、ひいては不妊を引き起こす恐ろしい病なのだ
しかもクラミジアである妊婦がそのまま出産すると産道で赤ちゃんに感染し、
その後赤ちゃんが肺炎や結膜炎をおこす可能性が高いという。
感染初期なら抗生物質で簡単に治るらしいが、
慢性化するとやっかいらしい…
いろんな情報であふれかえるネット。
正しいこと、誤ったこと、自分なりにふりわけた結果わかったことは
1、クラミジアはほぼ性行為でしか感染しない。
(これを言い争うサイトのなんと多かったことか…)
2、クラミジアに対応した抗生物質を飲まなければ治癒することはない。
(自然治癒はない)
3、女性の場合、そのほとんどが無症状である。
4、パートナーがクラミジアの場合、双方ともに治療する必要がある。
5、クラミジア菌は感染初期には膣や子宮頚管にいるが、
放っておくと子宮の内部や骨盤内へと進入しそこで炎症をおこす。
そのため、感染初期には子宮頚管の分泌物を採取する抗原検査が有効だが、
感染後期にはクラミジア菌は子宮頚管より奥に行ってしまっているため
クラミジア感染者であっても抗原は発見されない。
血液検査による抗体検査は感染初期・後期ともに有効だが、
これによってクラミジアが完治したかどうかは判断できない。
とまあ、あげたらきりがないのでこのへんにしておく。
クラミジア性感染症……
もちろん!
私は夫を裏切るようなことは 神に誓って したことはない
夫もまた然り!
毎日常に行動をともにしてきた私たちの間に「浮気」の二文字などありえないのだ!
とはいえ、
夫とつきあうまえに交際していた相手からうつされた可能性がないとは
決して言えないのである。
これはどんなに誠実潔白な人間であれ言えることだ。
無症状のまま5年、10年を過ごし、
妊娠や不妊を機にクラミジアが発覚することはめずらしくないらしい。
一度気になったら、ハッキリさせないと気がすまない性分の私は、
なんとかしてクラミジアではないことを実証させねばと
躍起になって検索をつづけた。
そこでみつけたのが「保健所」である。
これまた自分とは無縁のものと思っていたが、
調べてみてその利用価値の大きさに驚いた。
なんとクラミジアの検査が無料・匿名でできるのだ。
保健所でエイズの血液検査が無料でできるのは知っていたが、これは知らなかった。
保健所は全国各地に点在するが、
エイズにクラミジア、梅毒と3つも無料で検査を受けられる保健所を発見。
しかもすぐ隣の市にあるのでそこに行くことにした。
予約が必要で検査実施日は毎週火曜だけ、結果報告はその翌週とある。
今日は月曜。もう深夜で予約の電話はできない。
だが来週行くとなると、その結果報告は日本滞在最終週となり、
万がいち、検査に引っかかった場合、
そのまま香港に戻らなければならなくなる。
私は翌日朝いちで電話し、これからでも大丈夫か聞いてみた。
運良く空きの時間帯がありいざ初保健所へ。
イメージとは違い、保健所の中はとても明るくきれいだった。
検査会場の受付へ行き予約した時間を確認する。
整理番号が書かれた一枚の紙を受け取り、
この紙に性別と年齢のみ記入して提出すると、
整理番号の控えとともに、採血用の小さなシリンダー2本を渡される。
整理番号の控えは結果報告を聞くときに必要なので、
なくさないようにしなければならない。
検査会場には、私のほかには友人どうしできたらしい若い女の子の2人しかいなかった。
20代前半だろうか…いやどうみてもあれは10代か……
自分の姿がなんだか場違いなように思えてきた私は、
冷静をよそおい自分の順番を待った。
番号を呼ばれ、個室に入る。
そこには中年のおじさんカウンセラーが机の前で腰掛けていた。
温和な人柄にとりあえずホッとする…
性病に関するひと通りの説明をうけたが、
かなりの時間をかけて調べ尽くした私からみると、
このおじさんカウンセラーの発言はあまりにも無学だった。
「クラミジアはね、知らない間にからだの中に入ってきて、
知らない間に出て行っちゃうんですよ」
ととんでもないことを言った。挙句の果てには、
「50過ぎればみんなクラミジアだよ〜私もそうだからね〜」
とニコニコ……。
場を和ませようとして言っているのか、
単なるアホなのかはよくわからなかったが、
とりあえず私はすべて聞き流すことにした。
これから子供を望んでいるのでそのために血液検査をしにきた、
内診は受けて異常なかった、と私が言うと
「じゃぁ大丈夫でしょ〜」と、血液検査をする必要なんかないんじゃないの?
みたいな言い方をされたので、
「まぁ、ちょっと遅めのブライダルチェックですよ」と言ってみた。
おじさんカウンセラーがおもしろくもないズッコケジェスチャーをかましたとき
奥の部屋が少しざわついた。
どうやらそこで血を抜いていた女の子が倒れたらしい。
私に血抜きの順番がまわってくるにはもう少し時間がかかりそうだ。
時間をうめようとおじさんカウンセラーがまた話し始めた。
「最近多いんだよね」
おじさんは倒れた子のことを言っているらしい。
「ほら、今の若い子は朝ごはん食べないのが多いでしょ?血にも弱いみたい」
「はぁ」
私が適当にあいづちをうつと
「まぁ、我々みたいのは大丈夫だよね」
おいおい、あんたと同類かい、と心でつっこみ、
このおじさんの言葉がどういう意味なのかも微妙なところだったが、
私はとりあえず満面の笑みで
「ええ、そりゃもちろん」 と答えておいた。
やっと私の番が来て、奥の部屋へと進み、丸椅子に座った。
机の上にはシリンダーに入った深紅の血液が2列に並んでいる。
この中に「陽性」の血はあるのだろうか…
なんてことをぼんやりと考えていると、
エプロン姿のおばちゃんがやってきた。
私は持っていたシリンダー2本をおばちゃんに差し出した。
まず、シリンダーに貼られた番号札と整理番号の控えとを
照らし合わせて番号の確認をする。
おばちゃんが番号を一度読み上げ、再度私も一緒に読み上げる。
エイズ用の血液1本とクラミジア・梅毒用の血液1本。合計2本分だ。
おばちゃんは脱脂綿をお皿にのせると、
上からものすごい量の消毒液をドバドバふりかけた
机の上はあふれた消毒液で水浸し、いや消毒浸しだったが、
おばちゃんはなんら悪びれる様子もなく、あらあら と小さくつぶやくと、
びちゃびちゃ の脱脂綿で私の腕を消毒した。
しかしこのおばちゃんの血抜きは見事なもので、
雑な割りにまったく痛くなかった。
こうして保健所での血抜きは無事終わった。
あとは整理番号の控えをなくさないように、1週間待つだけだ。
6日が経ち月曜がきて、
まずは子宮頸がんの検査結果を聞きに産婦人科へ。
まったく問題ないとのことで安心する。
そして翌日の火曜。
いよいよ保健所の検査結果だ。
大丈夫だろうとは思いつつも、万がいちということもある。
不安はぬぐえない。
保健所までの道のりを
「ダイジョウブダイジョウブキットダイジョウブ…」
と呪文のように唱えながら歩いた。
整理番号の控えを握り、カウンセラーのいる部屋に入ると、
先週と同じおじさんカウンセラーが座っていた。
おじさんは私の顔を見ると「あぁ」と思い出したように微笑んだ。
この様子ならきっと大丈夫、そう思った私の前に
スッ と結果通知の紙が出された。
茶色いわら半紙には、私の持つ控えと同じ番号が記され、
エイズ、クラミジア、梅毒のそれぞれの項目の横に
陰性・陽性・判定保留の文字が並び、○印がつけられている…
エイズ…… 陰性○
梅毒…… 陰性○
クラミジアは……
…………
陰性側に○印がつづく中、ひとつだけ違う列に○が…
一瞬頭がまっしろになる。
クラミジアの抗体はなんと、判定保留の欄に○がつけられていた…
クラミジアにはなにやら「IgG」と「IgA」という2種類の抗体があるらしく、
そのうちのひとつ「IgA 」が判定保留とある。
そんな…
私は頭の中が ぐるぐる したが、冷静をよそおっておじさんに尋ねた。
「このふたつはどう違うんですか?」
するとおじさんは
「ん? どっちも一緒一緒。クラミジアの抗体」
…なんてアホな答えだ。やはりこのおやじはアホだった。
どっちもクラミジアの抗体なのはわかっている。あきれた返事に腹が立ったが、
このおじさんになにか聞いたところで無意味だとわかった私は、
もうなにも言わなかった。
おじさんは ごちゃごちゃ としゃべりつづけ、
「何度やっても判定保留に出る人はそのまま放っておいてもらってるんだけどね〜」
となんの慰めにもならないようなことを言っていたが、
私はもうそれどころではなかった。
判定保留は陽性ではないが陰性でもない。
まさに字のごとく、保留なのである。
もはや陰性と出なかった以上、
医療機関で再度血を抜いて、「確認検査」というものをするしかないのだ…
この保健所と提携している産婦人科を紹介してもらうこともできたが、
ここはやはり前回行った家の近くの産婦人科に行くことにした。
それにしても先週行っておいてよかった。
1週遅れていたら確認検査でもう一度血を抜いても、
その結果を自分で聞きに行くことはできない。そのころはもう香港だ。
危なかった…
私は保健所の帰りにそのまま産婦人科へ直行したかったが、
あいにくその時間帯はお昼の休憩中だったので一旦家に帰ることにした。
さっそくネットでクラミジアの2つの抗体について調べる。
「IgG抗体」は過去にクラミジアに罹ったことがあるかどうかを示し、
「IgA抗体」は現在活動性のある感染(他人に感染する可能性が高い)かどうかがわかるらしい。
さらに「IgG抗体」はたとえクラミジアが完治しても
陽性から陰性にもどることはないとのことだった。
抗体検査ではクラミジアが完治したかどうかはわからない、とあったのは
こういうことだったのか…
保健所のおやじめ、2つの抗体の意味はぜんぜん違うものではないか!
ろくな知識ももたない人間が、
性病という深刻な問題を左右する現場に平気で座っているのだから
本当に恐ろしい。
判定保留ということがどういうことなのかもわからぬまま
確認検査の結果を待つ日々がどんなものか、奴は考えたこともないだろう。
こんな無知なカウンセラーの一言一言に、
保健所で検査を受けた人々が一喜一憂しているとしたら、
なんという屈辱だろうか…
私は2つの抗体のそれぞれの意味を理解し、
過去の感染を示す「IgG」が陰性であることにとりあえず安堵した。
過去の感染がないのなら、大丈夫に決まっている…
しかし理屈ではそうわかっていても 「判定保留」 ということばは
なんとも気味の悪い響きをもって私を苦しめた。
そうだ!もしもクラミジアだったら、
子宮頸がんの検査でもなにか異常が出るのではないだろうか。
もしそうなら、まったく問題ないと言われた私は
クラミジアも大丈夫なはず…
しかしこの疑問に関してハッキリしたことは調べられなかった。
なんとか確実に安心できる言葉を探そうと必死に検索をつづけたが、
目新しい情報は得られず、病院の休憩時間はとっくに終わっていたので
私は産婦人科へむかった。
診察終了時間に近かったせいか病院は空いていた。
昨日もきたのに今日もくることになるとは…
私はすぐに名前を呼ばれ診察室へ入った。
今日は男の医師である。
さっそく保健所でのできごとを告げ、
その忌まわしい検査結果をみせた。
「○○○市の保健所はクラミジアも梅毒もやるんだぁ、やるねぇ」
医師がうなる。
「無料なんですよ」と私が言うと
「えぇえっ 無料〜?!」と看護婦のおばさんが驚きの声をあげた。
私はおばさんの反応に笑顔を向けたが、
いかんせん不安のあまり顔がひきつる。
「IgG が陰性だから大丈夫だと思うけどなぁ」医師はつぶやくと
「まぁ、一応調べましょうか」と言った。
なんだか真剣味に欠ける言い振り…私が心配しすぎなんだろうか…? ふと思う。
窓際へと移動して丸椅子に座った。
昨日は左腕をやったので、今日は右腕をさしだす。
ゴムチューブを腕にまきつけてもらっているとき、
医師は「保険でやっちゃおうね。クラミジアっと…」と言いながらカルテに記入した。
納得いかない病名をカルテに記入されて不満を抱く人がいるらしいが、
深く考える必要などない。保険を適用するための一時的なものでしかないのだ。
「昨日もきたのよね〜」
ひとりのおばさん看護婦が笑顔で言った。
ははは…… 私は頑張って笑っていたものの、心臓はバクバクだった。
緊張で腕が震える…
今日の この血 ですべてが決まるのだ…
あっという間に血は抜き終わり、結果は1週間後だという。
ホッ… なんとか香港に戻る日には間に合った。
机にのせられたカルテにふと目をやると、
先週撮ってもらった超音波撮影の写真が貼ってあったので、
私は「超音波でクラミジアかどうかはわかるのか」とこの医師に聞いてみた。
「そりゃわかりませんね」 医師は間髪いれずに きっぱり。
残念ながらここでも安心できることばはもらえなかった。
家に帰ってからも再び検索しまくった。
昼間調べたこと以外にわかったのは、
保健所の検査はあまり当てにならない、ということだけだった。
陰性と出たらほぼ陰性だが、陽性と出ても必ず陽性というわけではないらしい。
確認検査で陰性と判明することのほうが多いとか…。
これは偽陰性者を極力出さないようにするためらしい。
あぁ、不安で不安でしかたがない。
もしも万がいち陽性だったら、香港で治療しなければならない。
しかも夫も一緒に…
いろんな思いが頭をかけめぐる。
日本滞在の貴重な残りの日々を
こんな気持ちで過ごさなければならないなんて。
私は夫に打ち明けたくてしかたがなかったが、
確認検査の結果がまだわからない以上、今話しても夫を混乱させるだけだ。
だがひとりで胸にしまっておくには、1週間はあまりに長い。
私は姉にだけ事情を打ち明けた。
「きっと大丈夫だよ…」姉の優しいことば。
そうだ、きっと大丈夫。私も自分にそう言い聞かせた。
なるべくクラミジアのことは考えないようにし、
あっという間に1週間後を迎えた。
病院に午後いちで行く。
ついにきたのだ、このときが…
病院は今まででいちばん混んでいた。
長い待ち時間、私は両手を握り締め自分の名が呼ばれるのを待つ。
「カミサマオネガイシマスオネガイデスダイジョブダイジョブゼッタイダイジョブ…」
私は白い床をじっと見つめながらブツブツと唱え続けた…
ついに名前が呼ばれ、診察室へ入る。
先週とは違う別の医師だ。
椅子に座る…
机の上にカルテがのっている…
そのカルテの左端に 陰性(−)と書かれているのがチラリと見えた瞬間、
医師が検査結果を差し出した。
「陰性ですね。大丈夫ですよ」
「 よかったあぁぁぁあぁぁ!!」
私は泣きそうな声で言った。
看護婦のおばさんも横で微笑んでいる…
心配で夜も眠れなかったんですぅ、と言いながら、
私はその検査結果を何度も読み返した。
まったく問題ない数値。
なぜそれなのに判定保留になったのだろう。
私は勇気を出して、絶対聞こうと思っていた2つの質問をした。
まず、保健所での判定保留という結果になにか意味はあるのか、ということ。
この医師は嫌な顔ひとつせず親切丁寧に説明してくれた。
判定保留に医学的意味はまったくないとのこと。
保健所の検査はいわゆる「スクリーニング検査」。
これは陰性か陽性かその可能性を目の粗いザルでふるいわけるようなものなのだが、
保健所の検査はそのザルの目がとても大きいために、
本来陰性であるはずの人も陽性と出たり判定保留と出たりする…
おぉおっ、なんというわかりやすい説明!
私はこの時点ですっかりこの医師を信頼していた。
この人にならなんでも聞ける、そう確信した。
そこで私は2つめの質問……
もしも子宮頚管にクラミジアがいた場合、
子宮頸がんの検査でなにか異常が出ることはあるか…
「うぅぅぅん……。それは出ないかもしれないなぁ」
医師は考え込みながらそういうと、
今度は子宮頸がんについて熱心に語りだした。
ご存知のように子宮頸がんは30歳をこえると
定期的に検診を受けるように市などで勧められている病気だ。
しかしこの医師の言い分は違った。
「子宮頸がんも性交渉によるウイルス感染から発生するんです!
アメリカでは性交の盛んな10代20代に子宮頸がんの検診を勧めているんですよ!
日本では30歳以上のひとに検診を勧めていますが、
夫をもつ主婦があっちにもこっちにも愛人つくったり普通はしませんよね?
日本は間違っているんですよ!!」
うおぉおっ 熱い! 熱すぎる! かなりの熱弁だ。
医師の話はさらには現代の性教育にまで及び、
私はこの医師の医学に対する熱い想いと、
一人の患者にこんなに時間を割いてくれたことに
痛く感動したのだった…
帰り道、それはもう 天にも昇る 思いだった。
クラミジアの呪縛 からやっと逃れられたのだ。
行きは重かった足取りが今はこんなにも軽い。
まさに弾む勢いだ。
神様ありがと〜!ホンットーにありがとう!
私は何度もくりかえした。
本当に本当に、心からうれしかった。
日本滞在中、家族みんなでカラオケに行ったのもうれしかった。
大好きな愛猫に再会できたこと、去年生まれたばかりの姪を抱っこできたこと、
甥の入学式を見られたこと、桜がきれいだったこと…
うれしかったことはまだまだ他にもたくさんある。
だが本当に心底うれしかったのはこのとき、この帰り道 だった。
今回の日本滞在での最高の喜び。それはクラミジア陰性……。
なんだか今思い返すとマヌケな気もしないではない…
…とまぁ、つまり、心配しすぎるとろくなことがないわけだ。
陰性だったから言えることだけどね。
クリックするとみこねこにWEB拍手が届きます。
【イラストでアクシデントの最新記事】








すごい表現力!長文書く時気になるのは、
飽き・見辛さor誤字・脱字なのですが
ワクワクしながら最後まで読めました。
こういう文章書けたらな=3
さすがですね!勉強になります。
病気の心配もなくなってよかったですねw
子作りがんばって下さい!
私のブログでお気に入りに登録
勝手にしちゃいました・・・;ダメ?
もしダメでしたらすぐに削除しますので(>_<)
返事下さい!
とっても楽しく読ませてもらいました。一人で笑ってしまったよ。それでそれで?って続きを読むのが楽しいよ。
文章もおもしろいけど絵もすごいね〜。
遠い香港でのことなのになんだかすぐ近くに住んでいるみたい。
産婦人科でも異常なくてホントよかったね。同じく子作りを考えている私にはその気持ちがよ〜くわかるよ。お互いかわいい赤ちゃんを早く授かりたいね。
ではでは、次回を楽しみにしているね!
横浜から応援しているよ〜!!
こんなに長い文章を最後まで読んでくれて本当にありがとうございます!
喜んでもらえてとてもうれしいです。
子づくりの準備は万端!お互い、元気な赤ちゃんを夢見て頑張りましょ〜
これからもよろしくね!
かなり役立つブログ見つけた!
パワーアップできるよw
色々機能つけてみたから来てね!
ずいぶん昔のスレッドへのコメントですみません。
実は私も先週保健所のクラミジア抗体検査でみこねこさんと同様
「IgG」が陰性で「IgA」が判定保留となり、病院で確認検査の採血を
受けてきました。
明後日結果が出るのですが、かなり不安です。
そんな中みこねこさんのこのスレッドを読んで、同じ境遇の人がいて、
しかも確認検査の結果陰性であったということはかなり勇気づけられます!
いまはみこねこさんと同じ結果になることを祈るばかりです。。
コメントを残していただいて、本当にありがとうございます。
さぞかし、不安に過ごされていることと思います。
「判定保留」というのは、とても不気味な言葉です。
どちらかわからない、という答えは、本当に苛立たしく、もどかしく思います。
「大丈夫に決まってる!」そう信じたい気持ちと、
「でも万が一…」という気持ちがグルグル、グルグル、
頭の中を駆け巡っているのではないでしょうか。
身をもって経験した私にはよくわかります。
クラミジアの抗体の定義から考えれば、
「IgG」が陰性なら、「IgA」も陰性であるはずです。
保健所の検査結果は、「陰性」は信頼度が高いようですが、
逆に「陽性」や「判定保留」は信用性が低いと思われます。
でも、たとえそうだとしても、
「クラミジア陰性」という確固たる検査結果がでないかぎり、
決して安心することはできませんよね。
そんななか、私の書いた記事で、
少しでもハルキさんの心の荷が軽くなったのなら、
とてもうれしく思います。
本当に、ただ ただ、祈るのみです…
「陰性」の結果に、安堵のため息をつかれることを、
心から願っています。
これを呼んでちょっと凹みました。
私も凹んでますのでご勘弁ください…